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終戦直後のラジオ番組「真相はかうだ」

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1945年(昭和20年)の12月から、戦時中に起きてきたこと、「日本はどんな指導者のもとで、どんな戦いをし、どんな暮らしを強いられたのか。」について、解説した番組「真相はかうだ」。いくつかの放送内容が、NHK戦争証言アーカイブスで公開された。敗戦直後荒廃した国土で、人々は何を「真相」として聞いていたのか。言葉遣いが古く、わかりにくいところはあるが、当時の状況を知る大変貴重な音声ファイルであろう。

【#真相はこうだ…

NHKアーカイブスさんの投稿 2020年7月1日水曜日

放送直後は、「ドキュメンタリー形式を装ったドラマ仕立てに編成された番組であった」であったが、「真相箱」「質問箱」といった形式に変化していっている。

検索結果|NHK 戦争証言アーカイブス

今回公開されているものをきいてみると、最初の2つは「軍人とその親友である民主主義者の文筆家」(とWikipediaに書いてある)の対話に基づくドラマ仕立ての放送で、「南京」「硫黄島」「沖縄」「広島・長崎」などについて、「真相」を明らかにしている。それまで政府が伝えていた内容とは全く違う内容を、わかりやすいドラマ形式で伝えていて、人気番組になったという。

評論家の佐藤忠男 さんは、新潟にいて当時15歳、貪り聞いたという証言をしている。

「『眞相はかうだ』を貪り聞いた」 佐藤 忠男さん(映画評論家)|あの人の戦争体験|NHK 戦争証言アーカイブス

この番組は、GHQ民間情報教育局が自ら構成した番組で、イギリスの同種の番組にならったというが、演出も刺激的だったこともあり、NHKに抗議が多く寄せられた。その状況に応じて、GHQが形式を変えたのが、残りの2つの「質問箱」「真相箱」という形式だという。質問箱第1回では、

1.1942年(昭和17年)4月18日の東京初空襲の影響は。
2.どういう方法で東条英機首相は国民の思想の自由を束縛したのか。
3.日本軍がアッツ、キスカ両島を失うに至った決定的な原因は。
4.中野正剛(思想家)の自決(1943年10月)に関して。

という質問に答える形式をとっている。だいぶ演出は地味になり、リスナーからの質問にひとつひとつ答える形をとっている。

当時はGHQによる言論統制があったため、この番組に対する批判が検閲の対象になっていたという指摘もある。用語としては、「大東亜戦争」という言葉は使わず、「太平洋戦争」という言葉に統一されている。

国立国会図書館のデジタルコレクションでは、「真相はかうだ」の第一回放送の台本が、公開されている。

真相はかうだ. 第1輯 – 国立国会図書館デジタルコレクション

今日、「真相はかうだ」や「真相箱」に関心を持つ人は多くはないが、参考資料を挙げておく。この番組をテーマにした書籍として、保坂正康『日本解体―「真相箱」に見るアメリカGHQの洗脳工作』(扶桑社、 2004年)がある。


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